何曜日だっていざよいちゃん

世界は生きづらく、そして美しい。

七歳で果たし状をもらった話②

ある日のこと。Hちゃんは取り巻きのCちゃんを連れて、廊下に私を呼び出しました。
渡されたのは封筒。ちゃおの付録かファンシーショップで買ったのかな? っていうデザインのそれに、
「果たし状」
って書いてあったんですね。

中には同じようなデザインの便箋が三枚ほど。
一枚目に「明日の何時に〇〇公園へ来い」という旨のことが、二枚目に「来ないとこんなことになるぞ」みたいなことが、三枚目には「負けたときの十六夜の顔」が描かれていました。
困りましたねえ。行ったらとんでもない目にあいそうだし、行かなくてもとんでもない目にあいそうだし。しかし不安な気持ちで家に帰ると、母がこう言うんですね。

「明日美容院の予約がとれたんだけど、一緒に行けない?」
ラッキー。〇〇公園、行かなくてすむじゃん。ということで次の日の放課後、私はなにもなかったように母と美容院に行き、ハッピーに過ごしていました。
しかし、帰ると留守電が入っていました。それは当時の担任の先生からで、その内容というのが

十六夜ちゃん宛の果たし状、というお手紙が校庭に落ちていまして……」
封筒を確認すると、三枚あった果たし状が「十六夜の負けた顔」のものしかありません。

そこからはもう私の親にも先生にも伝わってしまいましたので、HちゃんCちゃんのお母さんも交えてお話の機会が設けられました。なぜかCちゃんのお母さんが「あなた、そんなことしたの?」と泣き出したり、彼女たちの担任の男の先生が全然状況を把握していなかったり、私が具合が悪くなってしまったことにして勝手に家に帰ったり……終結したようなしてないようなで、いやがらせはなくなりました。
盗られたものは大体戻ってきました。私は彼女たちと通学を共にしなくなり、Hちゃんはその後私にしたのと同じようなことをクラスの女子ほとんどにしてしまったため、どんどんみんなから疎まれるようになりました。

ちなみに、当時の担任の先生。「十六夜ちゃんはとっても苦しい思いをしていて、誰かに気づいてもらおうとわざと手紙を落としたのね……」と思ってくださったそうなのですが(後で聞くと、母もそう思っていたらしい)

マジでただの不注意なんですよね。

でも気づかないふりしたり、捨てちゃったりする先生って普通にいるだろうから、先生には感謝しています。