何曜日だっていざよいちゃん

世界は生きづらく、そして美しい。

座右の銘と言いつつ推しの話


「常識はずれでなく、常識破りをする」

 前者は常識を知らずにそこから外れてしまうことで、後者は常識を知った上でそこから外れることである。常識破りは意図的であり、なにか新しいことをしようと画策することで、そこには発想とセンスが問われる。

 聖飢魔IIは「一九九九年に地球を征服すること」を目的としたへヴィメタルバンド(に見せかけた教団)である。「お前も蝋人形にしてやろうか」といったフレーズの、悪魔の世界を表現した楽曲の印象が強いが、「神でも悪魔でも科学でもない ヒトの心が泣いて」といった歌詞が見られる、悪魔と人間両方の視点から人間の世界を描いている作品も多い。悪魔としての存在を世間に知らしめ、そのあとでルックスだけではなく、音楽的な技術力と確固たるメッセージ性を印象づけ、人間の心を掴んだ。

「才能は、たくさん伸ばそうと思えば、伸びる芽は幾つもあるのだ」活動が一つの分野に収まらない文化人が非難されるような時代から、閣下はマルチタレントへの挑戦を宣言していたように思われる。デーモン閣下は奇抜なルックスでありながら、世界征服が終了した現在も多方面で活躍している。音楽では邦楽やアコーディオンなどの要素を取り入れ、新しい表現を試みている。デビュー当時から大相撲の布教活動を行い、最近でも好角家としてメディアに出演している。ほかにも悪魔でありながら、がん検診や電波利用環境保護の啓発キャラクターを務めている。一つだけでなく、いくつもの視点から物事を見ている。だから人間の心をとらえ続けているのだと思う。

 閣下は自身の早稲田大学での卒業式に、悪魔の姿で参加した。悪魔としての正装であり、これからその姿で生きていくから、ということだそうだ。これが「常識破り」なのである。あまりにかっこよくて、スーツで就職活動をしているのが恥ずかしくなってしまう。制服は脱ぎ捨てたいし、イヤなことはイヤだと言ってやりたい。それでもまだ人間である私は、常識から抜け出すのはそれはそれで面倒だと考えてしまう。

 

 

デーモン小暮(一九八七)『我は求め訴えたり』ネスコ

 

作詞作曲:ダミアン浜田 聖飢魔II『THE END OF THE CENTURY』一九八六)より『蝋人形の館

作詞:デーモン小暮 作曲:ルーク篁 聖飢魔II『LIVING LEGEND』(一九九九)より『REVOLUTION HAS COME

 

☝参考資料です~~