生きづらさに名前がほしかった。
突然ですがみなさん、HSPってご存知でしょうか?
Highly sensitive person の略で、すごく簡単に説明すると『人一倍敏感・繊細な気質を持つ人』のことです。
色々なことに気づき、普通の人よりたくさんの情報を受け取ってしまうため、精神的に疲れやすいという課題を持っています。
ちなみに病気ではなく、生まれ持った気質を指します。
五人に一人がHSPの気質を持っているそうで、これは十人に一人と言われている左利きの人よりも多く、単純計算でSMAPにも嵐にも一人はいるってことですよね(偏見だけど)。
なぜこんな話をするのか? まあ、ちょいちょい言ってるし、察することができるだろうけど。
私、生きづらいと思ったらHSPでした。
この本を勧められて読んでいたのですが、HSPの特徴は、私の生きづらいエピソードと恐ろしいほどに一致していました。
題材にしてブログを書くのはどうかなーと思ったし、これも一回書き直しているんですけど(なにせ判明してから一か月くらい経ったので)、
HSPってまだあんまり知られていない気がするし、なにより自分の感情を整理したいのでいろいろ書いていきます。
1.具体的に困っていること
(*HSP特有の神経質さ・感受性の豊かさはデフォルトとします)
①他人の感情に共感しすぎて、自分の感情が迷子になる
基本的に「察する」という能力が人一倍高いため(そのせいで困りまくっているので、自慢じゃないです)、
表情や状況を見るだけで、その人の気持ちは痛いほどに伝わってきます。
痛いほどに伝わってくるため、それが自分の感情だと勘違いしてしまいます。
たとえば私は、ショッピングモールでお小さいお子さんが泣いていると、
「辛そうだなあ」「お母さんも、あんなふうに言わなくていいのにな」などと考えてしまい、
買い物に集中できなくて買い忘れが多発します。わりと日常的に。
②問題が起こると、自分をまず疑う
「察する」を通り越して、「被害妄想」から抜け出せないこともあります。
人がイライラしていると、自分の行動を思い返して
「自分がやった、あれのせいかな? これのせいかな?」と考えてしまいます。
①も加わって、仕事で同じ部署の人が怒られていると、自分が怒られている気分になってしまいます。
(*上記二つは被害妄想の中で生まれ、ただの勘違いに終わるケースは非常に多いです)
③断れない、怒れない、頼れない
「いい人に見られたい」という思いからではなく、「この人を困らせてはいけない」という思いから、頼まれたことは基本的に断れません。
仕事をしながらもさまざまな点に気づいてしまうため、完璧を求めます。時間もかかります。
他人に頼られながらも「迷惑はかけられない」と、自分は人を頼れません。
人の仕事の出来が自分の三分の一でも、
「自分も完璧じゃないから」「無理なら仕方ないから」と怒れません。
④価値観の違いに戸惑う
③のように他人ベースで動き、言わずとも察することができてしまうため、
他人が自分の「当たり前」から外れていることに違和感を覚えてしまいます。
たとえば自分の予定を犠牲にして友だちと会う約束をしたのに、相手がドタキャンしてきて悲しくなったり、イライラしたり(でも相手には言えない)。
相手の気持ちを察して動いたのに、鈍感な相手はそれを返してくれなかったり。
最近は「しかたないなー」と思えるようになりましたが、人間関係で疲れるのは人の好き嫌いより、こっちでした。好きな人だと怒れないし。
こうしたことに対して、よく「気にしなくていいよ」と言っていただけます。
だけど、一度気になってしまったらもう、無理なんですよね。
たとえば目の前を歩いているお兄さんが金髪だったとして、「かっこいい」「不良みたい」「人は髪形じゃないよ」など意見はさまざまだと思うんですけど、
その人が金髪だったことを気づかない状態に戻すのって、不可能じゃないですか?
他の人にとっては通行人Aかもしれないけど、私にとってはもう金髪のお兄さんなんですよ。
それで「なんでみんな、あの人が金髪って気にならないんだろう?」っていうようなずれが、私の生きづらさだったんだと思います。
2.HSPが判明して、生きやすくなったのか?
生きづらさに名前がつけば、生きやすくなるものだと思っていました。
咳が止まらないとき「カゼ? もしかして結核?」って心配になるのは、それがなんなのかわからないからで、名前がわかるだけでも不安は治まるだろうと。
そして病名がわかれば、たとえ結核だったとしても
治療法や向き合い方はわかっていくから、まずは名前を知ることが大事だろうと思っていたのです。
そして本当に苦しんでいる方々には申し訳ないのですが、私は自分に精神病・あるいは発達障害があるものだと思っていました。
そうした人に共感できる部分はあったし(今思えばHSPだから)、不登校してたころのダメな自分が今もどこかに残っている気がしていて。
原因がわかることで、気持ち的に楽になる部分はありました。
悩んでいたことに対して「十分幸せなのに」「考えすぎなだけ」と言われることもあったけど、私は間違っていなかった。
「周りとずれている」と言われる原因の一つもわかった、周囲も間違ってはいなかった。
だけど私は、病気ではない(調べれば出てくるかもしれないけど)。
専門のカウンセリングや向き合い方はあったけれど、根本的に治療することは不可能です。
ってなった瞬間、今まで「どうしたら人にわかってもらえるんだろう」って色々考えていたことは全部無駄で、あきらめるしかないのか、と淋しい気持ちになりました。
同時に「優しいよね」「気が利くね」と言ってもらえることもあった自分の行動が、人を思うためではなく性質上やってしまったことだと判明して、
「じゃあ今まで人に見せてきた自分って、なんだったんだろう?」とも考えてしまいます。
すごくネガティブなんですけど多分、喉が痛いと薄々思って来たが医者に「風邪ですね」って言われて、その瞬間、身体がめちゃくちゃだるくなってきた……みたいな現象が今、私の中で起こっているだけだとは思います(伝わる?)。
3.人はなぜ、生きづらさをカミングアウトするのか
発達障害、メンタルヘルス、セクシャリティ、その他諸々。
SNSでサクっと発信できる時代と、多様性重視の風潮のせいか……
世の中カミングアウトブームじゃないですか?
さっき書いた通り、生きづらさに名前があっても生きやすくはならないし、カミングアウトしたところで逆に攻撃されてしまう可能性まで出てくるわけで、なにも楽しくはないですよね多分。
だけど発信するって、すごく大事だと思います。
さっきも書いた通り、咳が止まらなくて不安な人がいたとして、
誰かが「こんな症状の私は、結核だったんですよ。だから病院に行って、こうして~」ってネットに書き込んでいたら。
「こうすればいいんだ!」という他に、こういう感情が芽生えてくるはずです。
「私一人じゃなかったんだ」
生きづらさにある不安要素の一つは、孤独だと思います。
自分と同じ思いをしている人がどこかにいるとしたら、「私もだよ~」って率先していった方がいい。自分が孤独なら、なおさら。
「一人じゃなかった」「こうして治療した・向き合った人がいた」っていうのは、誰かの希望になります。
私は中学時代、自律神経失調症で学校に行けなくなったとき、説明しても先生たちに「そんな病気は聞いたことがない」と言われました。
それで四年後に、同じ中学の後輩にあたる知り合いが、同じ症状で学校に行けなくなってしまったんですけど、
私の母はその子のお母さんの相談に乗っていたし、学校の理解度も私のころよりはるかによくなっていました。
なんかおこがましい話ではありますが、前例って大事だと思います。
あとエッセイ出して大儲けしてる人に対しては、今までの生きづらさ思ったら大金稼ぐでもしないと割に合わないよな、って思う。
ただ自分と同じ生きづらさを抱えているからって、自分のすべてを理解してくれる人だと思い込んだり、依存したりするのは本当によくない。
HSPだからって、すべて同じポイントに敏感な訳ではないらしいですし(ある人は大きい音がだめで、ある人は強い匂いがだめ、みたいな)。
4.この世を燃やしたって、一番ダメな自分は残る
大槻ケンヂが沁みてきたら、メンタルがやばい合図だと個人的に思っているのですが。でもオーケンだいすき~。
これから書くのは自分へのいましめなので、特定の人への悪口ではないです。
暗い過去を生きづらさのせいにして、前を向いて生きていくのも一つの手だけど、
たまに生きづらさによっかかって、身勝手にふるまう人をたまに見かけます。
いい例えが思いつかないんだけど、メンヘラだからってリスカ画像上げちゃう人、とかかな……。
うーん、どうしてもできないことってあるとは思うんですけど、頑張ればできることはやった方がいいよなって思うんですよ。
『五体不満足』の中で乙武洋匡さんが「もし『自分は障害者なのに、誰も助けてくれない』と思っている人がいたら、自分にある障害以外の問題に目を向けてみよう」
というようなことを(うろ覚えですが)言っていました。
生きづらさは自分の一部であり、そうでない部分もあるけれど、他人はすべてまとめて相手を見ていると思います。
人間は誰しも欠点を持っているし、それをカバーできる長所も同時に持っているのです。
あと、生きづらいポイントを個性とか、長所として伸ばそう! っていう考えはなにも考えずに賛同はできませんね~。
人と違うところを「それが君の個性なんだね!」ではなく、
「それが君の当たり前なんだね」と言ってもらえる世界にはやくなってほしい。
多分私が人とずれてる原因はHSPだけではないだろうし、もっとHSPとか生きづらさを解明するには必要な知識があるだろうし、
はやく「昔、果たし状もらったことがあってね~ははは」って今話せるくらいに、軽く考えられる日が来てほしいな。
それと、このブログは「私の生きづらさは過去にあるのか」と思って整理してくための記事が多かったんですけど、
そうでもなさそうなので随時消してしまっています。
下書きには残っているから、笑い話にできるころになったら、また引っ張ってきますね。
http://hspjk.life.coocan.jp/selftest-hsp.html
↑HSP診断です。
これ以外にもネットに転がってますが、HSPの提唱者であるエレイン・N・アーロン博士のものなので、一番的確だと思います。
ついでに、世界一好きなカミングアウト動画を観てください。